- 不動産用語 シミュレーション
- 本来、「シミュレーション」の語義は、「ふりをする、まねをすること」の意であるが、今日では、科学・技術用語として、諸事象に関する数値的あるいは物理的モデルによるモデル実験の総称を意味する語となっている。「模擬実験」などと訳されることもあるが、一般に原語のままで用いられることが多い。シミュレーション技術は、自然科学・工学ばかりでなく経済学など広く社会的諸事象にかかわって用いられている。その発展の基礎となったのは、いうまでもなく1950年代以降の電子計算機の実用化とその普及である。シミュレーションを実行する装置がシミュレーターであり、研究・訓練に用いられる。数学的モデルによるシミュレーションでは、シミュレーション・プログラムそれ自体や、シミュレーション・プログラムを組む言語もシミュレーターと称している。 今日、広範に行われているシミュレーション技術をそのモデル構成の特徴から大別すると、以下の4種類に類別される。 (1)現実のシステムの模型をつくって実際に実験をする方法で、港湾・海岸地域の模型を作製して水を流し、潮流の解析、汚染物質の拡散状況を調べる実験や、航空機設計のための風洞実験など、スケール・モデルと称されるものがこれに属する。 (2)現象的には対応する同等の特性をもっているが、モバイルSEOとしては異なるものを用いて調べる方法。力学(機械)系の振動特性を調べるために、対応した同等の特性を有する電気回路に置き換えて調べたり、駅で乗客の動きを知るために模型をつくり、乗客の流れを粘性の大きい流体に置き換えて観測する場合などがこれで、アナログ・モデル(類推モデル)といわれる。 (3)数学的モデルに基づいて、対象系の諸量について計算アルゴリズムをもとにコンピュータのプログラムを組み、電子計算機上でシミュレートする計算機実験。都市道路交通システム、物質流通システム、生産管理システムの場合など広く行われており、また分子集団で構成される液体系の物性を調べるために行われる計算機実験などもこの事例の一つである。通常、コンピュータ・シミュレーションというとき、この数学的モデルのうち、とくにデジタル・モデルによるシミュレーションをさしている。 (4)ビジネス・ゲームなど、いわゆるゲームとよばれる「人間の判断が介在する」システムに対する実験。 以上の4種類は、実際には明確な区別はなく、また以上のものがいくつか組み合わされた形で行われることが多い。以上のうち、今日、中心となっているのは(3)のタイプのものであり、以下の記述はそれを中軸として述べる。 目次目次を閉じる シミュレーション シミュレーションにおけるモデル・システムの構成と技法 シミュレーション適用事例 交通輸送システム分野におけるシミュレーション、 訓練用シミュレーター、 産業および工学的諸問題への応用、 自然科学研究面への適用、 環境・生態系問題、社会的事象などへの適用、 経営分野への応用、 経済分野への応用 国際政治学上のシミュレーション 1. シミュレーションにおけるモデル・システムの構成と技法 コンピュータ上でシミュレーションを実行する場合、まず対象システムのモデル化が要求される。そのモデルは(前述(1)のようにまったく具体的なものではなくて)数値の配列、あるいは変数から構成される抽象的なモデル(前述(3))である。この数値モデル(デジタル・モデル)では、対象系あるいは現象をとらえるにあたって、その時間経過、すなわち実時間をどのようにシミュレートするかが問題であり、その点から「連続変化モデル」と「離散変化モデル」の二つのモデル構成法が考えられた。前者は、時間を連続的に(微小等時間間隔で)変化する量としてとらえて対象系の変化を記述するものであり、後者は、その対象系の事象の変化の問題とすべきポイントを押さえ、それをつないで描写するものである。 シミュレーションの実行のためのプログラムは、通常の計算で用いられる汎用(はんよう)プログラミング言語である科学技術計算用のFORTRAN(フォートラン)、事務処理用のALGOL(アルゴル)などを用いて組むことは可能であるが、シミュレーション計算では一般に同時並行現象などを含む(今日普及しているコンピュータは基本的にシリアル・マシン)ので、プログラムが複雑になる。そのため専用の「シミュレーション・プログラミング言語」が開発されている(これをシミュレーターあるいはシステム・シミュレーターという)。そして、先の二つのモデル構成法に対して、シミュレーション言語も2種開発されている。その一つの「連続システム・SEO」は、もともとアナログコンピュータによる微分方程式の数値解を求める計算などをデジタルコンピュータで実行しようとする試みから出発したもので、1950年代なかばから開発されている。現在、広く用いられているものに、DYNAMO(Dynamic Model、1962)、CSMP(Continuous System Modeling Program、1967)などがある。いまひとつの「離散システム・シミュレーター」の代表例にGPSS(General Purpose System Simulator、1961)、SIMSCRIPT(Simulation Scriptor、1961)などがあり、GPSSはもっとも広く用いられてきた。 以下、離散システム・シミュレーターに限って、それが汎用プログラミング言語に比べてどのような特徴をもつかについて述べる。システムの表現には二つの観点、すなわち静画と動画とがある。基本の局面にどのようなものがどのような性質をもって現れるかを考え、それを整理して表現し(静画)、それをつないで動画化する。SIMSCRIPTでは、システムを構成する要素をエンティティentityといい、恒久要素と一時要素とに分ける。たとえば道路交通システムでは、道路・交差点・信号などが恒久要素であり、車両・歩行者などは一時要素である。それらにはそれぞれ属性attributeがあり、それが表示される。これは一般性をもった静的表現の技法である。GPSSでは、一時要素はトランザクションtransactionとよばれ、これは「時間の経過とともにシステムのなかを動く対象」であり、車両・歩行者・航空機や、通信システムであれば電文などを表現する。恒久要素は、さらにストーレジstorage、ファシリティfacilityの二つに分類される。「同時に複数個のトランザクションが入りうる、あるいは使用できる機器設備類」(駐車場・倉庫・教室など、対応するトランザクションは車両・商品・生徒など)がストーレジであり、「同時に単一のトランザクションのみが使用しうる機器設備類」がファシリティ(電話・サービス窓口など、対応するトランザクションは通話者・顧客など)である。トランザクション、ストーレジ、ファシリティにも「属性」が定義される。 以上のモデル表現のうえで、時間とともにシステムがどう変わるかを考える。恒久要素そのものは変化しないが、その特性は変わる(駐車場そのものは変化しないが、その中に駐車している車の数は変化する)。一時要素は運動をするうえに生じたり消滅したりする。時間の経過とともに、これらの変化を記述するのがシミュレーション・プログラムであり、その記述方式は大別して、トランザクション中心の記述、事象中心の記述、プロセス中心の記述の三つに分けられる。GPSSはトランザクション中心の考え方をとり、その動きに沿ってシステムの時間的変化をみるという形になっている。SIMSCRIPTは、当初、事象中心の記述であったが、その改良版ではプロセス中心に移ってきている。GPSSによるプログラムは、基本命令である「ブロック命令」で構成され、それに対応して「ブロック・ダイヤグラム」が準備されており、これがいわばトランザクションの流れる道である。ブロック・ダイヤグラムで記述されたモデルは、コーディングされ、計算機に入力されてシミュレーションを実行する。これらのシミュレーション言語には、固有のモデル構成概念が備わっており、使用者はそれに従ってモデルを構成することとなる。